お題「鍋といえば」

 鍋と言えば、迷うことなく「てっちり」でしょうね。あまり食べる機会はないが、たまに大阪へ行くと、友人が会うや否や「今日は何を食う?」と尋ねる。いつものように「何でもいいよ」と答えると、「自分が食べるものを何でもいいというやつがあるか」とよく怒られた。そして「天下茶屋?」(多分)へ連れて行かれ、ひれ酒で喉をうるおし、てっさから、皮、てっちりと行き、最後に食べるおじやが最高においしかった。

 しかし、チゲなべもうまい。東京オリンピックの終わった頃、新宿駅西口にあった明月館のチゲなべは最高だった。あまりの辛さに、頭をボリボリかき、お絞りで汗を拭きながら食べたチゲの味は、今でも忘れられない。

 年配のご主人がときどき注文していない小物を出してくれて、「注文してませんが」と言うと、「気の利かない困った奴め」と言うような表情で、「私のサービスです」低い声でぼそっと言って行ったりした。